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矢田建設のブログです。
お知らせ
2022/11/17
建設業の残土処理の現実と有効活用の動き
今、建築業界では残土処理問題が深刻化しています。
建物を新たに建築する場合や公共事業での地面掘削によって発生する大量の残土処理は、指定業者によって適切に処理をするルールとなっています。
年間発生する残土は実に5億トン/年間もあり、2.5億トンは埋め立てによって残土処理を行っています。
ここにかかる費用が1.3兆円にも及び、莫大な費用が残土処理にかかっていることも分かります。
しかし、発生する5億トンの内、残りの半分は処分方法不明となり、不法投棄などが懸念事項として問題化しています。
残土処理を適切に対処せず、山林に不法投棄してしまうことで、自然災害などの外的ダメージを受けた際に軟弱な残土が土砂崩れとなる可能性もあるのです。
2021年に発生した伊豆山の土石流災害は残土による盛り土の処分場所とされており、非常にずさんな処理体制だったという報告が上がっています。
今、残土処理に関しては、環境問題、処理費問題、また適切な処理を行わないことで発生する土砂崩れの問題など、残土処理だけで波及する問題が山積みとなっています。
そこで残土処理の現実と新たな有効活用について解説していきましょう。
残土処分とは?
土自体は産業廃棄物ではありませんが、建設現場で発生する残土は産業廃棄物が混在していることがあり、その場合、産業廃棄物として適切に処理しなければいけません。
主に残土の中に混在しているゴミは、紙くず、建設時に発生した木材や、コンクリート、有害物質や汚泥などが挙げられます。
産業廃棄物として処理をする残土と分別された残土は、埋め戻しとして利用されますが、それでも残土が残ることも多いため、さらに残土処理をする必要があるのです。
残土は社会問題にも波及している
冒頭でも触れていますが、不法に残土を投棄したり、適切な処理でも管理不十分によって、人々の生活はおろか、人命にまで影響を及ぼすおそれがあるのが残土処理問題です。
熱海の土砂災害によって浮き彫りとなった建設現場によって発生した残土処理問題ですが、その後自治体や国の取り組みも整備され、自治体ごとに条例による規制を徹底し罰則を設けています。
また、国では残土発生場所から搬入、搬出のできる追跡可能システムの導入を進めており、不法投棄自体を取り締まる動きも加速しています。
さらに、全国5万箇所ある大規模造盛土造成地の調査を開始し、安全性を把握した上で適切な防止策を実施することを長期に渡り計画しています。
現在は調査段階となり、令和7年までには60%の調査実施目標を掲げています。
残土ブロックは有効活用となるのか?
日本でも一躍有名な起業家として知られているイーロン・マスク氏が、新たな取り組みとして地下にいくつものトンネルを張り巡らし、地上の渋滞を回避する構想を進めているそうです。
地下トンネルを掘削するには、今回のテーマである残土が発生するのは不可欠であり、トンネルともなるとその量は想定もできない残土となるのは言うまでもありません。
そこで、残土だけでできたブロックを開発し、建築物に再利用できる残土ブロックを開発しました。
1ブロックは11円と破格な価格で販売し、アメリカで販売されているレンガよりもコストを抑えられるメリットがあるとのこと。
耐久性、耐火性に関しての確かな情報は公開されておらず、日本国内でも認可されていないため、現実的に国内で再利用できる建築資材となるのかは不明ですが、コストを抑えられることや、残土処理問題の解決の糸口になるかと期待もされています。
今後、どのように活用できるのかも期待できるでしょう。
まとめ
良質な土とは違う建設現場の残土は、処理方法を厳しく整備されているものの、現実は全ての残土処理業者が優良とは言い切れていません。
それ故に、不明な残土が全体の半分もあります。
環境問題、災害問題にまで波及する残土処理を今後は有効活用できるよう技術発展も求められるでしょう。
日本でも土木関係の企業の努力によって有効活用の課題に取り組んでいます。
私たち矢田建設でも建設業界に携わる一企業として、残土問題の課題と向き合う時期なのかもしれません。
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